行政書士試験 勉強法

二重譲渡と即時取得

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こんにちはTAKASUKEです。

いつもお読みいただきありがとうございます。

本日は、二重譲渡と即時取得の違いです。

事例1

「Aは親の形見である大事なダイヤを持っており、友人のXに貸した。

友人XはXの友人Yにそのダイヤを売った。」

民法192条(即時取得)として以下の条文があります。

「取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意(知らなかった)であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。」

Yは「ダイヤの占有を始めた」と言えるでしょうか。

即時取得とは、現実にXの占有をYが承継したかどうかが問題となります。

Yが引渡しを受けていればYは占有を開始したと言えます。

即時取得は、

1.取引行為である

2.平穏に、公然と

3.占有を始めた(引き渡しを受けた)

4.善意無過失

この4つの条件がそろって初めて所有権を取得するというものです。

これは、Xが悪人です。そしてYは善人です。

Xはダイヤを所有していません。実体のない他人の物をあたかも自分の物の

ように取引しています。

Yを保護するために即時取得があるのです。

結論として、

「取引の安全を重視したもの」であるということです。

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二重譲渡とは、一物一件主義の大原則の帰結です。

事例2

「Aが持っているダイヤをXに売りました。Xは代金を支払いましたが、

Aは同じダイヤをYに贈与して、そのダイヤを引き渡しました。」

これを二重譲渡と言いまして、

ダイヤはXかYかどちらの所有かという問題です。

即時取得は無から有が生じるものでした。(実態が無いのをあるものとして扱っている。)

しかし、Aは実際にダイヤを所有しています。

XYのいずれがそのダイヤを取得するかという問題です。

XのものであればYのものではなく、YのものであればXのものではないのです。

XとYは食うか食われるかの問題となります。これを対抗問題と言います。

民法178条には以下のような内容が記載されています。

「動産に関する物件の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。」

引渡を受けていれば自分が所有者だと主張できます。

ですから、Yが主張できます。

早い者勝ちですね。

二重譲渡の場合はイス取ゲームになります。

結論としては以下になります。

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即時取得は取引の安全を重視したものであり、善意の相手方を保護するしくみ。

二重譲渡は対抗問題であり、第三者に対する権利主張の問題。

一般的に、対抗要件を備えないときは悪意の第三者にも権利を主張できない点が

相違する。

つまり、対抗問題は、善意者の保護を目的とした制度ではない。

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スッキリ整理できましたでしょうか。

本日は以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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