「行政書士に合格したら、仕事が来る」と思っていませんか?
行政書士試験の勉強をしている皆さん。
少しだけ、厳しい話をします。
行政書士試験に合格した。
登録した。
事務所を開いた。
看板を出した。
ホームページを作った。
名刺も作った。
――それで仕事が次々にやってくる。
残念ながら、そんなに簡単な世界ではありません。
行政書士の業務は非常に幅広く、
官公署に提出する書類の作成・代理・相談、権利義務・事実証明に関する書類など、多くの分野に及びます。
だからこそ、
「行政書士になった後、何をするのか?」
が重要になります。
そして、ここからが今回の記事の本題です。

行政書士試験「合格」はゴールではない
行政書士試験に合格すると、行政書士となる資格を得ることができます。
ただし、行政書士として業務を行うためには、
行政書士名簿への登録や、事務所を置く都道府県の行政書士会への入会などが必要です。
ここまでは、受験生の多くが知っているでしょう。
しかし、その先にある、
「どうやってお客様に選ばれるのか?」
については、試験ではほとんど教えてくれません。
ここが、行政書士という資格の面白いところであり、難しいところでもあります。
「行政書士です」だけでは、お客様は来ない
例えば、あなたが何かの手続きで困っているとします。
Googleで検索すると、
「行政書士○○事務所」
「行政書士△△事務所」
「行政書士□□事務所」
と、たくさん出てくる。
では、どこに相談しますか?
おそらく、
「行政書士だから」
という理由だけでは選ばないでしょう。
「建設業許可に詳しそう」
「説明が分かりやすい」
「地元のことをよく知っていそう」
「ホームページの記事が役に立った」
「YouTubeを見て、この人なら相談できそう」
「同じ業界の経験がある」
「知人から紹介された」
――こうした理由で選ぶはずです。
つまり、
「資格」だけではなく「理由」が必要なのです。
これから行政書士を目指す人に伝えたいこと
もし、あなたがまだ受験生なら、
「合格したら考えればいい」
と思わないでください。
むしろ、
合格する前から考えておく。
これが非常に重要です。
なぜなら、行政書士試験の勉強をしている期間は、
「自分が何の専門家になりたいのか?」
を考える絶好の時間だからです。
戦略①「何でもできます」を捨てる
最初に考えたいのがこれです。
「何でもできます!」
一見すると、すごそうです。
しかし、お客様から見ると、
「結局、この人は何が得意なの?」
となります。
例えば、
「建設業許可なら任せてください」
なら分かりやすい。
「外国人関連の手続きに力を入れています」
なら分かりやすい。
「相続・遺言を中心にしています」
なら分かりやすい。
「地域の中小企業支援を専門にしています」
なら分かりやすい。
もちろん、実際には複数分野を扱うこともできます。
でも、情報発信や集客の入口では、
「○○なら、この人」
というイメージを作ることが大切です。
戦略②「自分の過去」を専門分野にする
40代・50代から行政書士を目指す方には、特におすすめしたい方法があります。
それが、
「これまでの人生を専門分野にする」
という考え方です。
例えば、
建設業界で働いてきた。
↓
建設業許可を研究する。
↓
「建設業界経験者の行政書士」
という立ち位置を作る。
会社員として管理職を経験してきた。
↓
中小企業の組織・事業承継などを学ぶ。
↓
「経営者の気持ちが分かる行政書士」
を目指す。
営業経験が長い。
↓
顧客とのコミュニケーションを活かす。
↓
「相談しやすい行政書士」
を目指す。
つまり、
若い人と同じ武器で戦う必要はありません。
あなたが今まで積み上げてきた経験を、
「行政書士」という資格に接続するのです。
戦略③「地域」を武器にする
全国で有名になる必要はありません。
むしろ、
「自分の地域で知られる」
という戦略があります。
例えば、
「○○市の建設業許可」
「○○地域の事業承継」
「○○県の農地関連手続き」
などです。
行政書士は、建設業、農地・土地、運送業・自動車、飲食・風俗営業など、地域の事業者や住民に身近な手続きを扱うことができます。
地域に根を張る。
地域の事業者と知り合う。
地域の制度を研究する。
地域の情報を発信する。
これを何年も続ける。
すると、
「あの手続きなら、あの先生に聞いてみよう」
という存在になれる可能性があります。
戦略④「ブログ」を営業マンにする
ここからが、これからの行政書士にとって非常に重要です。
あなたが寝ている間にも、
ブログは働きます。
例えば、
「建設業許可とは?」
「建設業許可の更新で注意すること」
「飲食店を開業するときの許可」
「外国人を雇用するときに確認したいこと」
「事業承継で許認可はどうなる?」
などの記事を書いておく。
すると、
困っている人がGoogleで検索する。
↓
あなたの記事を読む。
↓
「この人、詳しいな」
と思う。
↓
事務所サイトを見る。
↓
問い合わせる。
この流れです。
もちろん、検索上位に出ることや問い合わせにつながることは保証されません。
しかし、
「売り込まなくても、知ってもらえる仕組み」
を作ることはできます。
戦略⑤「YouTube」を使う
さらに面白いのがYouTubeです。
例えば、
「行政書士に聞いてみた」
という動画を作る。
「建設業許可って何?」
「行政書士って何をしてくれるの?」
「会社を作るとき行政書士に相談できることは?」
「事業承継で許認可はどうなる?」
「行政書士に依頼するメリットは?」
こうしたテーマを、
専門用語を使わずに説明する。
これだけでも情報発信になります。
行政書士は、書類を作るだけではありません。
日本行政書士会連合会も、中小企業支援について、
契約書や規程文書、官公署への書類、許認可手続などを通じて、
経営・事業活動全般への助言・提案を行う「コンサルティングの一面」があると説明しています。
だからこそ、
「難しい制度を分かりやすく説明する能力」
は大きな武器になります。
戦略⑥「紹介される人」になる
行政書士の仕事で非常に重要なのが、
紹介
です。
一人のお客様から、
「この先生なら大丈夫」
と紹介される。
そのお客様から、
さらに別のお客様が紹介される。
これが積み重なると、
営業しなくても相談が入る状態
に近づいていきます。
もちろん、最初からそうなるわけではありません。
一件一件、
丁寧に対応する。
約束を守る。
説明を分かりやすくする。
できないことは「できません」と伝える。
必要なら他士業につなぐ。
こうした積み重ねが信頼になります。
戦略⑦「行政書士+○○」を作る
これが、今回の記事で一番伝えたいことです。
行政書士資格を、
単独で使おうとしない。
掛け算にする。
例えば、
行政書士 × 建設業経験
行政書士 × 相続
行政書士 × 外国人支援
行政書士 × 中小企業支援
行政書士 × Web
行政書士 × YouTube
行政書士 × 地域密着
行政書士 × AI・デジタル
こうすることで、
「ただの行政書士」
から、
「○○に強い行政書士」
へ変わっていきます。
2026年は「行政書士×デジタル」を無視できない
ここは、今から行政書士を目指す人にとって重要なポイントです。
2026年1月1日に改正行政書士法が施行され、行政書士の使命・職責が明確化されるとともに、
士業法として初めて「デジタル社会への対応」に関する努力義務が規定されました。
つまり、
「紙の書類を作るだけの行政書士」
というイメージだけでは、これからの時代に対応しきれません。
デジタル。
オンライン。
情報発信。
AI。
電子申請。
業務効率化。
こうしたものを、
「行政書士の仕事とどう組み合わせるか?」
を考える時代になっています。
もちろん、AIを使えば行政書士が不要になるという単純な話ではありません。
むしろ、
AIやデジタルを使いながら、最終的に人間が判断し、相談者に寄り添う。
そんな行政書士が強くなる可能性があります。
さらに2026年は「業務の境界」を知ることも重要
ここは受験生にもぜひ覚えておいてほしいところです。
行政書士の業務には幅広いものがありますが、
他の法律で制限されている業務は行えません。
日本行政書士会連合会も、その点を明確にしています。
2026年には、改正行政書士法の施行に伴い、業務制限についても改めて注意が必要になっています。
資格を取ったら、
「何でもできる」
ではありません。
むしろ、
「自分にできること」と「他士業につなぐべきこと」を判断できる人
こそ信頼されます。
税務なら税理士。
登記なら司法書士。
訴訟など弁護士の業務領域なら弁護士。
社会保険・労務の専門領域なら社会保険労務士。
そして必要に応じて連携する。
これもプロの仕事です。
「仕事がない」のではなく、「選ばれる理由がない」のかもしれない
ここで、少し考えてみましょう。
行政書士になった。
でも問い合わせがない。
そのとき、
「行政書士は仕事がない」
と考えてしまう。
しかし、本当にそうでしょうか?
あなたの存在を知っている人は何人いますか?
あなたが何を得意としているか、知っている人は何人いますか?
あなたのホームページを見た人は何人いますか?
あなたの記事を読んだ人は?
あなたのYouTubeを見た人は?
あなたを紹介できる人は?
もしかすると、
「仕事がない」のではなく、「まだ知られていない」
だけかもしれません。
ここは非常に重要です。
だから、受験生の今から始める
「合格してからブログを始めよう」
ではありません。
今から、
行政書士について発信してみる。
もちろん、実務を行う資格がない段階で、行政書士として業務を請け負うような誤解を与える表現には注意が必要です。
でも、
「行政書士試験の勉強をしています」
「行政法を勉強して、こんなことが分かった」
「行政書士の仕事を調べてみた」
という情報発信はできます。
そして、
「法律を分かりやすく説明する練習」
をしておく。
これが将来、大きな財産になる可能性があります。
40代・50代からなら「経験×資格」で勝負する
前回の記事でも書きました。
人生後半からの資格取得は、
若者との競争ではありません。
40代なら40代の経験。
50代なら50代の経験。
60代なら60代の経験。
それを行政書士資格と組み合わせる。
例えば、
「営業30年+行政書士」
「建設業界20年+行政書士」
「会社経営経験+行政書士」
「地域活動+行政書士」
「IT経験+行政書士」
これは、20代の受験生には簡単に真似できません。
あなたが積み上げてきた時間は、
あなたにしか持てない資産です。
「合格したら独立」だけが正解ではない
これも大切です。
行政書士資格を取ったからといって、
翌日会社を辞める必要はありません。
むしろ、
会社員+資格
という状態から始める選択肢もあります。
そして、
勉強する。
実務を知る。
人脈を作る。
情報発信する。
専門分野を決める。
将来の開業を考える。
こうやって準備する。
人生後半では、
「一発逆転」より「失敗しにくい積み上げ」
のほうが重要です。
では、今日から何をすればいい?
ここまで読んだあなたへ。
いきなり事務所を開く必要はありません。
今日できることから始めましょう。
STEP1
自分が興味のある行政書士業務を3つ書く。
STEP2
その中から「自分の経験が活かせそうな分野」を1つ選ぶ。
STEP3
その分野についてGoogleで10記事読む。
STEP4
行政書士会や官公庁など、信頼できる情報源を確認する。
STEP5
「この仕事を自分がやるなら?」と考える。
STEP6
ブログやSNSで、その分野について学んだことを発信する。
STEP7
行政書士試験の勉強に戻る。
これでいいのです。
そして、最後に一番大切なこと
行政書士試験に合格すること。
これは簡単ではありません。
だからこそ、
「合格したら何をしよう?」
という未来を持ってほしい。
行政書士の業務は、建設業許可だけではありません。
企業支援。
事業承継。
外国人関連。
相続。
土地・農地。
自動車。
飲食店。
さまざまな分野があります。
その中から、
「自分は何を専門にするのか?」
を考える。
これが、人生後半の資格戦略です。
「資格を取る」から「仕事を作る」へ
ここまで読んでくださった方なら、もう分かっていると思います。
行政書士資格は、
ゴールではありません。
スタートです。
そして、
資格
↓
専門分野
↓
情報発信
↓
信頼
↓
相談
↓
仕事
↓
紹介
この流れを自分で作っていく。
これが、
「選ばれる行政書士」
への道です。
10年後、あなたはどうなっていますか?
10年前の自分に戻ることはできません。
でも、
10年後の自分を作ることはできます。
今日、行政法を10問解く。
今日、民法を5問解く。
今日、記述式を1問解く。
今日、1時間だけ勉強する。
小さな行動です。
でも、それを積み重ねた人だけが、
「あのとき始めてよかった」
と言える未来に近づいていきます。
行政書士を「人生後半の武器」で終わらせない
前回の記事では、
「行政書士資格を人生後半の武器にする」
という話をしました。
でも、本当の勝負はここからです。
資格を武器にするなら、
どう使うのか?
を決めなければなりません。
そして、
「行政書士+あなたの経験」
という唯一無二の組み合わせを作る。
これこそが、40代・50代から行政書士を目指す最大の可能性ではないでしょうか。
あなたは、何の行政書士になりますか?
建設業?
相続?
外国人支援?
中小企業支援?
事業承継?
地域密着?
デジタル?
情報発信?
それとも、これまでの人生経験を活かした、まったく別の分野でしょうか。
まだ決まっていなくても大丈夫です。
今は、
「合格すること」
に集中してください。
ただし、心の片隅に一つだけ、
「合格した後、自分は何をするのか?」
という問いを置いておいてください。
それだけで、今日の勉強の意味が少し変わるはずです。
最後に
行政書士試験は、
人生を変える魔法ではありません。
でも、
人生を変えるための「きっかけ」にはできます。
資格を取る。
経験と掛け合わせる。
専門分野を作る。
情報を発信する。
人とつながる。
信頼を積み上げる。
そして、
自分で仕事を作る。
その可能性が、行政書士という資格にはあります。
だから、
「合格したらどうしよう?」
ではなく、
「合格したら、何を始めよう?」
と考えてみてください。
その瞬間から、
行政書士試験は単なる「資格試験」ではなくなります。
あなたのこれからの人生を作るための試験になるのです。
TAKASUKE行政書士試験受験者応援
このブログでは、行政書士試験の合格だけではなく、
「合格した後、どう人生に活かすのか」
まで一緒に考えていきます。
40代でも。
50代でも。
60代でも。
何歳からでも挑戦できます。
そして、何歳からでも、
「これから」を作ることはできます。
まずは今日の一問。
そして明日の一問。
その積み重ねが、未来のあなたを作ります。
一緒に合格を勝ち取りましょう。
本日は以上です。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。